第88話「紡ぐ時間」から第94話「敗北の時間」まで

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堀部イトナ、九月

白色だろうか。堀部イトナはふと考えた。今や男子の影に隠れてしまった右隣の席の机に、彼は色付きの文房具を見たことがなかった。といっても彼が登校した日数など、指を三本だけ折れば事足りるのだが。

イトナは転校生暗殺者である。元は一般人の中学生だったが、マッハ二十の触手生物を殺すべく、同じ(あるいは似たような)触手細胞を植えてもらった。肉体改造の成果は著しく、六月の転入以来、彼は標的の超生物に多くの傷を負わせている。今となっては過去の話だけれども。イトナは触手を失った。一昨日の夜のことだ。

さて復学に至ったイトナは、二日目の学校生活を電子工作に費やした。彼は家業の影響で多少は器用な手先を持ち、たとえばラジコン戦車を改造できる。カメラ搭載、射撃可能、標的はもちろんクラス担任。何せ昨日、一学期分の遅れがあるだの何だの、めちゃくちゃ小テストを課してきたのだ。俺が殺して賞金もいただく。イトナは強く決意した。

カメラの視野が狭すぎるということで、途中からクラスメイトも協力してくれた。魚眼レンズや録画機能の提案に始まり、参謀がつき、復元士がつき、設計補助、偽装効果、ロードマップ。そうこうするうち腹が減ったと誰かが言い出し、ゴーヤーチャンプルーを作ってもらえることになった。彼の実家のラーメンはまずいが、料理の腕は確からしい。と、クラスメイトを見送り、カメラ映像に視線を戻したら、一瞬だけ遠くにクラスメイトが見えて、——地面がひっくり返った。

「木村!」

「もう動いてる!」

協力者が一斉に動き出す中、イトナは右側に目を向けた。協力者の一人と目が合った。だが、そいつではなくて。スカートの制服、白色のタイツ、右隣の席の女子生徒。ふと考えた。それでは彼女は白色だろうか。

イトナはまだ全員の名前を覚えていない。教師陣は覚えたが、生徒となると、親しくなった寺坂ら、クラス委員の磯貝と片岡、あとはおおむね席の近い順に覚えている最中だった。だから右隣の席のクラスメイトは割に早く覚えたことになる。

触手が植わっていた間、イトナはE組の面々に、有り体に言ってひどいことを繰り返した。触手の副作用は原因の一つだが、クラスメイトには関係のないことだ。けれども、彼らはイトナをクラスメイトと認めてくれた。

右隣の席のクラスメイトも、朝はてらいなくイトナと挨拶し、授業では席を寄せ、教科書を見せてくれた。実際のところイトナが遅れている部分について、教師陣は配慮してくれたが、隣のクラスメイトも教えてくれたのだ。白色の付箋と、白色のペンで。

無論、シャープペンシルは黒、インクも単色ではない。だがボディは白色だ。ノートの表紙も白色、下敷きも白色、筆入れも白色。休み時間に取り出した携帯端末も、昼の弁当も、ハンカチも白色なら、タオルも白色。ワイシャツの白色は学校指定だけれども、自由に選べる靴下も白タイツ。それが外に出てみたらローファーの色は白ではなく、かえって目を瞬いてしまった。

だから白色でない可能性も否定はできない。それに、何か重要なことを見落としている気もする。

「おいイトナ」

そのとき寺坂の声がして、イトナはディスプレイを見た。空の位置が上側にある。復元作業が完了したのだ。また急かされる前に手を動かす。しかし、またすぐ足場が悪そうな地面が見えてきて、協力者たちも口々に反応した。やはり足回りは大きな課題らしい。これでは攻撃どころか移動もままならない。復元させるにしても、こう頻繫では、相手に予告しているようなものだ。

だが最大の課題は、もう少し後になって明らかになる。転倒と復元の繰り返しの最中、突如として映像が暗くなったのだ。景色に割り込む巨大な影。

「化け物だーッ!」

逃げろ、いや撃て、大混乱の操縦席でとりあえず両方を実践するものの、これがなかなか困難を極めた。逃げるか撃つかの一方ならまだしも、と思いながらもせっかく発射した弾丸(BB弾)は、しかし巨獣の体毛に押し返される。そして無駄を悟ったところで、敵は巨大な腕を振り上げた。

終わりは呆気ないものだった。化け物もといイタチにより破壊された機体は、まもなく回収され、イトナの机に戻ってきた。使える部品は残っているが、修理は難しいだろう。こうなったら改良案は二号機に持ち越し、どうせなら素体も再検討しよう。

それからイトナは思いついてボディを拾った。ペンも握る。イト一号は失敗作だが、ここから紡いで強くする。


「よっしゃ! 三月までにはこいつで女子全員のスカートの中を偵察するぜ!」

——これはイトナの言葉でもなければ、男子の総意でもない。悪しからず。

決して男子の総意ではなかったが、それから数日中にイトナは二度も正座させられた。もっと乗り気だった者は、イトナが知る限りにおいて五度。中でも約一名は、さらに言語化もはばかられるほどの罰を受け、その晩なおも改良案をくれた。岡島大河、おまえの犠牲は無駄にはしない。まあコードネームを考えろと言われたら、変態、盗撮、性犯罪、どちらにしようかな、天の神様の言うとおり。

——神様などいやしないが。

休学明けの学校生活はイトナにとって試練の連続だった。まずその休学期間が一学期分。来る日も来る日も補習、小テスト、特別課題。暗殺訓練も基礎のキから始まり、それ自体は身体能力も手伝って容易に習得できているが、もはやイトナは超人ではない。昨日はできたことが、今日はできない。今日はできたことが、明日はできない。イトナはやがて肉弾戦では使われなくなる。

当然の結果だった。自業自得ともいえる。触手がために得られた強さは、触手と共に失われる。だが、イトナが選択した。自分自身で決断した。だからラジコン戦車を引っ張り出した。

まだ強いうちに殺さねばならない、弱くなったら役立てなくなる、などとくすぶるつもりは毛頭ない。イトナより弱いはずのクラスメイトは、復学初日の僅か数時間で、手を変え品を変え暗殺に取り組んでいた。左斜め前の女子生徒は料理で殺す。前の席の男子生徒は美術で殺す。右斜め前の女子生徒は化学で殺す。なら俺は。

クラスメイトはそろいもそろって意外な反応を見せてくれたが、イトナは電子工作技術を身に着けている。肉体改造以前に親元で覚えたものだ。これはこの教室でいくらも先を行くクラスメイトとの開きをわずかでも埋めてくれるようだった。いや、それだけではない。男子生徒を中心に何人かが協力してくれた。女子生徒も何人かは正座を強要してくれた。イトナは徐々にクラスメイトを覚えた。

全員の顔と名前が一致するようになったのは、ちょうど今朝のことである。最後の一人は木村正義ジャスティス。漢字を見れば一目瞭然、ずっとマサヨシだと思っていたが、本当はジャスティスと読むらしい。下の名前まで読み上げるから病院も入学式も卒業式も好きではないとする木村の悩みを発端に、その朝とうとう顔と名前を一致させたイトナの前で、担任教師は高らかに宣言した。


「今日一日、名前で呼ぶの禁止!」


それで一日をどう過ごすのかって、コードネームで呼び合う、って。

全員が全員のコードネームを考え、くじ引きにして決定するというのである。マッハ二十で用意された担任手製の用紙の前で、イトナの手はすぐに止まった。

悩んでいてもしようがない。教師三名、生徒は自身を除いても二十八名。制限時間はホームルームいっぱい。思いつきで書くしかない。特にイトナは。わかっている。だが寺坂の欄にバカとは書けず、同じく親しくしている男子生徒の欄にもラーメンとは書けなかった。バイク屋の息子がバイクでよくても、「ラーメン」の実家のラーメンは、いかにも昭和のラーメンで、進歩も発展もなく、お世辞にもうまいとは言えないのだ。

イトナは世辞を言わないが、それとこれとは話が別だ。今回のコードネームの発端は、あくまでクラスメイトの悩みである。いくら匿名で確率も二十八分の一だとはいえ、思いつきで傷口に塩を塗るような真似はしたくない。ラーメンもバカもそれぞれ悩んで、それぞれ悩みに向き合っている。

結局、クラスで最も親しい部類のラーメンに対しては、頭の形からへちまと名付けた。同様に二、三名分の記入欄を埋める。

と、また筆が進まなくなる前に、親しいクラスメイトの名前を探した。狭間。そういえば彼女もジャスティスではないが、名前については言いたいことがあるようだった。この顔で「きらら」よ、とは今朝の本人の言葉で、たしかにお世辞でもなければ「きららっぽい」とは評されないような顔と立ち居振る舞いの女子生徒である。

——最初は細い糸でいい。徐々に紡いで強く成れ。

イトナは立ち止まらないようにキララのコードネームを書き込んだ。

ジャスティスのコードネームも決めた。特に親しい相手ではないが、短い学校生活で特に共通の経験があった。彼はラジコン暗殺の協力者だった。足が速い生徒で、倒れた車体を戻してくれる。復元士、とその役割を書き込む。悩む暇もないから、他の協力者たちの欄も同様に埋めていく。暗殺してよかったと、こんなところで思う。

さて男子の相当数を埋めたところで、イトナはいよいよ短い学校生活の記憶をひっくり返す作業に入った。授業より訓練、得意科目より得意暗殺。どうにか際立った殺し技を元に書き込んでみるも、まだ女子の半分も埋まらない。復学から数日、どうしても全員の暗殺を知る機会などなく、また大半の獲物はナイフと銃なのだ。イトナはペン先で用紙をつついた。

教室は筆記音であふれている。イトナの筆が進まない間も、隣の席で、前の席で、誰もが無言で回答欄を埋める。俺だけが取っ掛かりすらつかめずいる問題会場の皆は解き進めている。そんな錯覚がした。懐かしい空気だった。緊張感と字面が浮かぶと、自ずと以前の学校生活が思い出される。

一旦おとなしく顔を上げてみた。遡りすぎても仕方がない。それよりは後ろ姿でも眺めたほうが思いつくことは多いだろう。幸いちょうど顔と名前を覚えたところだ。席も教室の隅にあり、見える背中は少なくない。男女交互に各三列の計六列。まずは、左隣、左斜め、前、右斜めは埋めたから——右隣の席。

早くもイトナは考え込んだ。思いついたコードネームが、言い繕っても悪口に他ならなかったから。

シロ。全身白装束のシロ。しばらくイトナの保護者だった——誰かだ。白色で顔まで覆い隠す徹底ぶりは、被保護者だったイトナにさえ素顔も本名も知らせなかった。考えるまでもなく不審者だったが、およそ一学期前のイトナは彼の与えうるものを求めていた。シロもまた、イトナの持ちうるものを求めていた。かくしてイトナは触手を獲得し、シロは戦術を実現させる。

強さを証明したかった。何が何でも。怪物を死なせてしまいたかった。

イトナはシロと何でもした。イトナは触手などを受け入れ、シロもシロで中学生などに声かけをしている。二人は三度にわたって暗殺をしかけたが、そのうち二度は中学生の命を脅かす作戦だ。標的の暗殺にこのうえなく有効だったから。と、シロは中学生だろうと捨て駒にできる人間で、七月だったか、何も知らない中学生に起爆装置を握らせた。彼のクラスメイト全員を殺しかねない爆弾の。

すべてシロが用意した暗殺計画だ。けれどもイトナも積極的に従った。何も知らない寺坂にクラスメイトの命を握らせたことなど、強さの証明の前ではあまりに些細な問題だったから。クラスメイトの思いを踏みにじることも、下着泥棒で被害者に恐怖を与えることも、何もかも。触手生物本体いわく、イトナの思考力は触手に根こそぎ奪われていた。だとしても。

クラスメイトはイトナのことを受け入れてくれたが、イトナはたしかに残酷だった。

「——たしかに、あいつらの目的は気になるな。イトナ、ちょっといいか」

「ん。偵察なら、ちょうどいい機体がある」

イトナはそれを自覚した。一週間ほど前に。

今は復学から一週間以上がたち、クラスメイトが退学の危機に瀕している。


諸事情の積み重ねでそうなった。クラス委員の磯貝である。E組生活の浅いイトナにもわかるほど人間ができたイケメンだけれども、それはそれとして退学になるかもしれないらしい。磯貝を救い出すには、体育祭男子団体競技、棒倒しで三年A組を倒さねばならない、らしい。諸事情の積み重ねでそうなった。

本校舎——旧校舎のE組に対して——との折り合いが悪いことはイトナも基本情報として知っていた。が、少々認識が甘かったようだ。クラスメイトはただちに本校舎A組の狙いを疑って、流れるように糸成二号が偵察に駆り出され、帰ってきた録音結果がこちら。

「カミーユはフランスの有名レスリングジム次代のエース、サンヒョクは韓国バスケ界の期待の星、ジョゼはブラジルの世界的格闘家の息子、そして全米アメフトジュニア代表ケヴィン。いずれもれっきとした同い年さ」

年齢を隠さず、常識のルールをきちんと守り、たまたま偶然にも研修留学に来てくれた、A組リーダー浅野学秀の「猛者の友人」たちである。検索すれば画像も出てきた。大柄な高校生より大きかった。おまけに、すでに偏っていた参加人数の比率が、彼らの加入でついに二倍。もちろんE組が少ない側だ。

浅野は言った。

「最優先目標は棒を倒すことじゃない」

ここまで戦力差が開いているのだ。棒などいつでも倒すことができる。

「僕はね、これを通してE組のみんなに反省してほしいんだ」

ここで浅野は少しだけしおらしい声を出した。

「クラスのほとんどが素行不良。誰とは言えないが、こっそり校則違反を繰り返している者もいる。——そんなE組にね、棒を倒す前にじっくり反省してもらう」

ところで外人部隊を紹介されたA組の生徒は——やはり大いに驚いたようだった。彼らがたまたま偶然にも体育祭に合わせて訪れたことには、むしろ白けた様子さえあった。棒倒しのためにここまでするのか、と。そこで浅野は言ってやるのだ。期末テストで悔しい思いをした皆に向けて。

中間の前に少しお返ししておきたい

そんな気持ちがみんなにあっても、決して僕は責めないよ。

——こうしてA組は次の中間テストに向けてE組を痛めつけるべく一致団結、外人部隊を快く歓迎し、秘密特訓のために体育館へ。

ふと悪口に他ならない形容詞がひらめいたけれど、何にせよここまで成しうる中学生が実在することは、復学しなければわからなかったのだろう。浅野も外面はよさそうだから。


しかし幸か不幸かE組は、そのすばらしい外面を向けてもらえる側ではない。浅野はE組男子を勉強できない体にするべく、A組一同をたきつけたのだ。

「棒倒しは——野戦いくさと思え」

精鋭部隊出身の烏間教官は、その日からしばらく棒倒しの練習に付き合ってくれて、基礎をたたき込んでくれた。防衛学校での豊富な経験は鬼教官の鬼を累乗したけれど、男子の誰かはころ監督でなくてよかったと言う。

作戦も立てた。鬼教官は、人数差が戦力差に直結することを、体にたたき込んでくれた。特に今回、二倍の不利を克服しなければならない。磯貝を中心に戦術が練られ、時に殺せんせーも助言して、イトナは私生活に至るまでを制限されることになる。

「念のため聞いておくけど、イトナ、帰り道で曲芸なんかは——」

「——したことがない。問題ない」

また、ハイジャンプの特訓も始まって、選抜競技出場も決定した。種目は借り物競走だ。徒競走と合わせて、下位入賞が目標である。

女子からは隣の席の生徒が出場するらしいので、イトナはよろしくと挨拶した。念のため、左隣の黒色ではなく、右隣の白色である。彼女は相変わらずてらいなくイトナにほほ笑み、同じ言葉で、こちらは一等賞の目標を掲げてくれた。綺麗な顔で、イトナくんの分までがんばるねと。

「ちょっと烏滸がましかったかな」

「そうか? そんなことはないと思うが」

彼女は目を見開いた。

「そんな風に思ってくれてたんだ」

少しだけ照れた声を出した。

イトナは素直にうなずいた。

「おまえは戦える人間だ」

隣の席の少女ははにかむ。

「じゃあ、なおさら一位を目指してがんばらないとだ。そうして、気持ちよく棒倒しを応援する。イトナくんならできるよって」


体育祭当日、晴れ空の下、イトナは借り物競走に臨んだ。クラスメイトと一緒に集合場所へ向かい、男女で別れて整列、入場。したら、イトナの前でD組の選手が、距離を取るように前に詰めた。少しだけ詰めた。運営委員も何も言わない。意図するところはわかったから、それは無視して女子の列を見た。もっと露骨に間隔を空けられていた。嫉妬かその他の因縁か、イトナにはとんと判別がつかなかった。

困り顔のクラスメイトは、肝心の競走では相手を圧倒した。彼女は身体能力が高く、またお題——何か飲食物だった——を同じクラスのカルマから速やかに借りられたおかげで、二位以下に大きく差をつけたのだ。結果に満足したのか因縁が解決したのか、席に帰ってきた一等賞はいくらも安らかな表情をつくっていた。イトナは何にも触れなかった。ただ勝利を祝って、彼女はありがとうと目を細める。

イトナくんも。クラスメイトに見つめられた彼自身は、やはり目標のとおりに最下位だった。幸いにしてお題は「賞味期限が近い物」だった。イトナはのろのろE組の元へ走って、のろのろ英語教師を引っ張った。潜入暗殺者はわけのわかっていない顔で「賞味期限が近い物」として紹介、認定され、二人は見事に最下位ゴール。

このクラスメイトは徒競走も首位だったが、イトナは徒競走も最下位だった。練習の甲斐もあって、棒倒しが始まっても最後の最後まで攻撃を仲間に任せ、防御という防御にも貢献せず。最後の最後、磯貝に名前を呼ばれたときに見た初対面の敵将、A組の浅野の意外性で歪められた綺麗な顔がすべてである。

外人部隊でこそなかったが、イトナは実質的には体育祭直前の転校生で、そのうえ肉体改造をしていた。国家機密の観点からいっても、その身体能力で体育祭を総なめすることは、まったく不本意だった。浅野が外人部隊を率いていなければ、最後の切り札としての活用でさえ釣り合いは取れなかっただろう。

イトナは助走をつけて磯貝の手に飛び乗り、さらに高く、高く跳躍した。練習のとおりに目標に取りついて、勢いのままに体重をかける。仲間たちの攻撃と合わさって、倒すべき棒はたちまち傾いた。イトナの体の一つ下で、浅野がどうしようもなく体勢を崩す。だが、次はきっと——。スピーカーが勝敗を告げる前に観客席が沸き立って、イトナは静かに地面に降り立つ。

歓声の中で整列した。スピーカーも遅れて渋々といった調子で声を響かせ、E組の勝利を言葉にする。一同整列、礼、ありがとうございました。不承不承といった挨拶の最中に向けられた、何か恐ろしいものを見るような視線の数々は、甘んじて受け入れることにする。